風俗嬢との恋7 ~彼女が僕に求めているのは…~
彼女とお店の外で会えるのは嬉しい反面、とまどいもあった。
会ったらどうすればいいのだろう。
話をするとしても、まさか駅前で立ち話と言うわけではないだろう。
カフェやレストランに入るべき?それとも居酒屋?
姫子ちゃんはお酒って飲めるのだろうか?
そして一番重要なこと。
彼女が僕に伝えたいこととは、一体何なのだろうか?
僕と付き合いたくないのなら、あのまま連絡をしなければいいだけ。
向こうからアプローチがあったと言うことはもしかして…!?
そんな思考が頭をグルグルと駆け巡った。
でも自分一人で考えたってしょうがない。
姫子ちゃんと会えば、すべてがハッキリするのだ。
―――――そして、約束の時間。
姫子ちゃんは可愛らしい白のワンピースを着て渋谷駅へやってきた。
彼女の私服は自宅に呼んだ時も見たはずなのに、外で見るとまるで違く見えるから不思議だ。
「チョコおじさん!久しぶり!」
そう言って笑顔で僕にしゃべりかけてくれた。
僕は緊張してしまって、初めて会った時のようにガチガチになっていた。
「チョコおじさん、お腹減ってる?私が仕事帰りによく行くお店あるんだけど、そこに行かない?」
僕はその問いに、コクコクと頷く。
姫子ちゃんは微笑みを浮かべ、僕と手を繋いで誘導してくれた!
「あ、あの…。手、いいの?」
「何言ってるんですか。何度も繋いでいるじゃないですか」
そう言って笑う姫子ちゃん。
道行く人には僕らはちゃんとカップルに見えているのだろうか。
そう思うと嬉しさと恥ずかしさで、顔が熱くなった。
「着きました。ここでいいですか?」
案内されたところはお洒落な個室居酒屋だった。
僕は頷き、姫子ちゃんと一緒にお店の中へと入った。
姫子ちゃんはお酒といくつかのおつまみを手際よく注文。
「チョコおじさんは何を飲みますか?」
とこっちを気遣ってくれたりもした。
こうやって見ると、本当に普通の可愛い女の子だ。
風俗嬢だなんて、誰が想像するだろう…。
お酒が来たので乾杯。
しばらく食事を楽しんでいたが、姫子ちゃんが大きく息を吸った後
「お話があるんですが」
と意を決したかのように口を開いた。
僕は持っていた箸をおいて、話を聞く姿勢になった。
何を言われるんだろう。
楽しかった時間が終わってしまうかもしれない。
僕は恐怖と緊張で、心臓が痛いほど高鳴った。
「私の正直な気持ちとしては、定期的にチョコおじさんとお会いできたら、と思っています。」
予想していなかったセリフだった。
「それって、どういう意味?」
僕がそう言うと、彼女は気まずそうに口を開いた。
「お会いするのは構わないのですが、私はどうしてもお金を稼がなくてはならない事情があるんです。なので…」
僕と定期的に会いたいけど、お金を稼がないとならない。
それってつまり…
「会うのは構わないけど、お金が欲しいってこと?」
そう僕が聞くと、今度は彼女が黙ってコクリと頷いた。
僕は何だか残念で、そしてとても寂しい気持ちになっていた。
「姫子ちゃん。僕が求めているのはそう言う関係ではなくて…」
「私、どうしても今年中に1千万円貯めないといけないんです。だから、デートしたりする時間ももったいなくて…。でも私、チョコおじさんと一緒にいたいって言う気持ちもあるんです。これを逃したら、きっとチョコおじさんは私の元から去ってしまうでしょう?」
目に涙をいっぱい貯めて、彼女はそう私に訴えかけた。
彼女は、一体何を抱え込んでいると言うのだろうか――――?
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8話目【風俗嬢との恋8 ~姫子の過去1~】